子犬を飼い始めたら
ようこそ我が家へ!
お家に来た日から数日は、とても緊張しているものです。新しい環境に無理なくなじんでもらうことが大事ですが、環境の変化と移動のストレスは想像以上に体力を消耗してしまうので、新しい環境に慣れるには時間も必要です。
そこで、触りたい、抱っこしたい気持ちは少し控えて、ちょっと遠目で見守ってあげるようにしましょう。
そして、遠目で見守り続けながら、何かおかしなことがないかもチェックするようにします。
一日中閉じ込めておく必要はありませんが、休ませる時間と一緒に過ごす時間はルールを作って分けてあげましょう。
もしも何か心配なことを発見し、解決できない場合は、見つけたその日か翌日にはご相談ください。
幼い子の場合は、急な変化に素早く対応することが必要な場合があるからです。
そのためにはおしっこやうんちは見つけたらすぐに処理しましょう。
生後半年以降になるまでは、なるべくペットヒーターを用意して、寒い夜でも常に暖かい場所がそばにある環境を用意してあげましょう。(コードは齧られないように配線してください)
子犬の体重と食事管理
子犬の食事はバランスのよい子犬用の総合栄養食を与えてください。
食事の回数は1日量を分割して与えます。
体重が増加中の生後5カ月~6カ月くらいまでは1日に3~4回以上、それ以降も生後10カ月~12カ月までは2~3回に分けます。
胃腸も発育中なので、栄養を吸収しきれずに便に出てしまう割合も少なくありません。そのために吸収の良い食事を、回数を分けて与えるほうがいいのです。2回でもいいですと言われてしまう事もあるのですが、長時間の空腹は、胃酸過多や誤飲誤食につながりやすく、お勧めできません。
お家に来てとりあえずやってみたら、その後は病院でも一度アドバイスをもらうといいと思いますよ。
子犬が来たら食事内容はチェックするようにしています。調整が必要な子がちょこちょこいます。お気軽にご質問ください。
成長してからも、質や量に注意して食事を用意しましょう。ドライフード、缶詰フードとも、パピー・アダルト・シニアとライフステージ別に栄養計算されたフードがあり、商品によって与える量が異なります。パッケージ表示を参考に量を考えますが、最終的にはその子の体の状態(肥満や体調など)で調整するようにします。
当院のスタッフ(全員)はロイヤルカナン社よりペットフードアドバイザーの認定を頂いております。
大人の食事の内容についても、診察の時にお気軽にご質問下さい。
子犬のトリミング
子犬のシャンプーはいつごろからできますか?と聞かれることがあります。 当院でシャンプー・トリミングをするには、予防注射がすべて終わってから、が適当な時期になります。
小さなころからトリミングを体験させることは、おうち以外の場所やヒト、他のワンちゃんとの関係を覚えることができますので、しつけ・教育の一環としても有意義なことだと思います。 しかしながら、シャンプー・トリミングはヒトも犬も慣れが必要な作業です。突然できるようになるものでもありません。爪きりやお散歩後の手足の洗浄などは、できることから少しずつ慣れさせることにも、良好な関係を築くためには必要な作業です。お爪切りだけでも、部分カットだけでも、当院でもやっていますので、あまり無理せず、そのままお連れいただいても大丈夫です。(トリミングは予約制)
子犬の社会化
「社会化」という言葉は聞いたことがありますか?
ペットになるワンちゃんは、特に幼児期にどのくらいトレーニングできたかで、人との生活には大きな差ができることがわかってきています。犬の問題行動は、基本的な原因として、唸る、強く噛む、過剰な吠え、などがありますが、人と生活を共にしていくために、「社会化」と呼ばれるトレーニングがその子と家族の将来を大きく変えるかもしれず、そのために重要視されてきています。
ワンちゃんは10頭10色です。性格もありますし、犬種や遺伝的な性質、そして環境がありますので、みんながすべて同じ手順だけでよくなるわけではありませんが、積極的な理解と行動で、楽しいペット生活を送れるようになってほしいと思います。
動物病院は病気を取り扱う場所でもありますが、ペットとの生活をよりよいものにしていくお手伝いもその役割ではないかと考えます。
最近の考え方としては、
マイナスの要因となる刺激で「恐怖学習」をさせないように
これはいいことだと思う「良いイメージ」で学習させてあげることです。
甘噛みを例にすると
そもそも甘噛みは子犬の正常な行動の一つでもあり、咬んで認識する行動の一つ(遊びや学習)でもありますが、将来攻撃行動へ悪化してしまうことがあります。そのため、人間には決して噛んではいけない、という学習をさせる必要があります。これは、力が強くなると難しくなることもあるので、なるべく早く取り組む方がいいです。
人を咬むようになってしまったのでなんとかしないといけない、状況になっている場合は、人の手を咬むことで良い結果があったことを学習してしまっているかもしれません。
そのようにしないために、咬んでもいいおもちゃを用意して、一人で遊ぶものと、一緒に遊んであげるものを用意して、遊んであげる必要があります。
甘噛みされた時は、もう遊んでもらえない、
甘噛みしない場合は遊んでもらえる、
ということを家族全員で理解をさせていきます。
この時に、
わざと手足を咬ませて遊ぶ、
恐怖になるまで怒ったりする、
人間がリアクションすることが楽しい、遊んでもらった、と理解される
ようなことがないようにするのが大事です。
実際に教えると、すぐにできるものでもありません。
何回も何回も繰り返し。
大変だけと大事なことです。頑張りましょう!
* vet i No.40 記事を参考にしました。